"Rooms in Progress" Vol.3
マイク・エーブルソン インタビュー 後編
『動かせるデスク・忘れ物をしない部屋』

2018年7月末、Hotel CLASKA に POSTALCO デザイナー マイク・エーブルソンによる新客室が完成します。1~2名様が宿泊可能なセミダブルルームが2部屋。6月に入り、現場の CLASKA 7F では本格的な工事が始まりました。

新客室の制作過程を追う連載 "Rooms in Progress" の第3弾は、マイクさんのインタビュー後編と、現場からの最新画像をお届けします。

> "Rooms in Progress" Vol.2 マイク・エーブルソン インタビュー 前編はこちら
> "Rooms in Progress" Vol.1 はこちら



― 前編でご紹介した「好きな光を見つける部屋」というお話は、マイクさんご自身のホテルでの経験に基づいたアイディアでした。ほかにも、マイクさんご自身の経験から今回反映されたことはありますか?

マイクさん(以下M):
部屋の明るさについてと同じく、ホテル客室内の家具の配置も自分の好みや使い勝手に合わせて動かしたいと思うことが多いです。でも重くて動かせなかったり、いざがんばって動かすと下がすごく汚れていたりと、難しいことが多い。なので、新客室はデスクを車輪付きにし、動かせるものにしました。

s_po_7.jpg
©2018 Mike Abelson / Postalco

デスクの片側は車輪で、反対側は棚のレールで、動かせる仕様になります。ご宿泊の際は、ぜひ動かして、好きな位置を見つけて楽しんでみてほしいです。

あとは、忘れ物をしたくない、という思いが強いです。ホテルの部屋に忘れ物をすると、それだけで旅の後味が悪くなってしまう。なので、忘れ物につながりやすい要素をなるべくなくしました。

pos_2_5.jpg
©2018 Mike Abelson / Postalco

引き出しは作らずオープンな棚とベンチを荷物置きに、クローゼットもなくしてオープンなパイプをハンガーラック代わりに。冷蔵庫も要注意なので、冬なら窓辺の棚に飲み物を置いても良いかもしれません。スーツケースを常に開いておけるのがベストなので、ベッドを少し上げてその下にスーツケースを広げられるスペースを設けました。

― 家具が動かせる部屋、忘れ物をしない部屋。そんなホテルの部屋、なかなか聞いたことありません。最初に公開したスケッチでベッドが小上がりになっているのが印象的だったのですが、そういう意図が込められていたとは。

M:
あまり聞いたことないですよね。でもそこにはこだわってデザインしました。ベッドを上げたのは、約18㎡というコンパクトなスペースを効率的に使うという意味も込めています。高いところにあるベッドは鳥の巣のようで、どこか守られているような感覚になるし、天井に近い分光の感じ方も変わってくると思います。

s_po_9.jpg
©2018 Mike Abelson / Postalco

― 新客室には旅好きならではのこだわりが込められていますが、マイクさんがご旅行される際、またホテルに宿泊される際は、どういったことを大切にされていますか。

M: タマラ・ショップシンの "Arbitary Stupid Goal" という本が好きなのですが、その中で、旅の大きな目的を一つだけもって行くよりも、小さい目的をたくさん持ってそのプロセスを楽しむのが良いと書かれています。当初想定していないハプニングなどが意外と心に残るものです。ホテルに関しては、人がフレンドリーであること、リラックスできること、そして忘れ物をしないことが大事ですね(笑)。

― 今回の工事は、既存の客室を一度スケルトンの状態にし、また一から作り上げるリノベーションという形を取っています。CLASKA 自体、元の「ホテルニュー目黒」をリノベーションし、2003年に誕生した施設です。リノベーションについて、どのようにお考えですか。

M: 素晴らしいと思います。国によって地盤や建築素材などの事情はもちろん異なりますが、日本のビルは30年で壊すつもりで作られている、などよく言われて、もったいないなと。例えば CLASKA をとっても、建物の歴史がほかにはない独特さを生み出しているし、1F のロビーとレストランのスペースは、ピカピカの新しい建物だと見られない綺麗な光の入り方をしています。リノベーションをすることで、新たな可能性と個性を生み出すことができるのでは、と考えています。

d47c3893f89ab8bafc6b7ec10770b309e76518f2.jpg
CLASKA 1F Restaurant "kiokuh"

今回の客室のリノベーションで言うと、デザインは決まっているけど、現場では何が起きるかわからない。スケルトンの空間にしてみて、何か想定外のハプニングがないか、少し楽しみです。



以上、マイクさんにお話しいただいたこだわりを随所に体現すべく、設計に interior & furniture CLASKA の岡嶌要も入り、現場の CLASKA 7F では工事がリアルタイムで進んでいます。

b256d72cc8d25c299a08cc00b0de365d0c8d249e.jpg

部屋の床や壁をすべて取り除き、スケルトンの状態に。

003.jpg

インタビュー前編でご紹介した、入り口近くに設置される予定の石。

s_po_8.jpg

インタビュー後編でご紹介した、「動くデスク」の車輪。

新客室施工中の最新情報は POSTALCO と CLASKA の Facebook / Instagram / Twitterなどで、「#claska_roomsinprogress」のハッシュタグをつけて随時お知らせしています。そちらもぜひご覧ください。

POSTALCO  Facebook / Instagram / Twitter
CLASKA  Facebook / Instagram / Twitter

[掲載についてのお問い合わせ先]
CLASKA 広報 牛田実里(うしだみさ)
Tel:03-5773-9667 Fax:03-5773-9668 E-mail:press@claska.com 


「ポスタルコ ロゴ」の画像検索結果
http://postalco.net/
ポスタルコは毎日使う物を先入見なしに観察して、そこにモノ作りの契機とヒントとインスピレーションを見つけています。ロゴが伝書鳩なのは、もともと手紙でのやり取り、コミュニケーションにインスパイアされたからです。そもそも始まりは書類入れとノートブックでしたが、革の財布、レインウェア、ペン、キーホルダー、バッグ・・・、など他のアイテムにも、独自の考え方を応用していきました。NYのブルックリンで起業し、いまは東京を拠点にして15年以上が経ちましたが、日々の暮らしに日本のものづくりの技術を活かせる途を見つけ出すこともポスタルコのテーマです。性別、年齢、国籍を問わずに愛されるそのプロダクトは、永く使われることを想定して作られていて、生活することを軽くみないで、そこにこそ驚きや、発見のよろこび、Fun(たのしさ)をみつけようとする姿勢につらぬかれています。そのデザインの特徴は、Understatement(控えめ)でありながら、Utility(実用性)にすぐれていて、どこかしらWarmth(ぬくもり)があります。

マイク・エーブルソン
ロサンゼルス(カリフォルニア州)生まれ。ロサンゼルスのアートセンターカレッジオブデザインでプロダクトデザインを学ぶ。1997年にNYへ移り、ジャック・スペードのコンセプト作りとプロダクトデザインに携わる。東京を拠点にして16年余り、ポスタルコでのプロダクトデザインだけでなく、カルダー財団、サンスペル、コンランショップ、イッセイ・ミヤケ、エルメスなど、さまざまなクライアントとの仕事をしている。