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2011.09.25
フィリップ・ワイズベッカー展 「Line Work」がはじまりました。
トークショー&レセプションパーティーレポート

CLASKA Gallery & Shop "DO" 本店で、フィリップ・ワイズベッカー展 「Line Work」
はじまりました。本店内のギャラリースペースでは、建物やトラックなどの新作を。



"Gallery 2" では、特に本展覧会のタイトルにもなっている「Line Work」を
テーマとした新作をご覧いただきます。



合わせて70点以上。見応えのある展覧会となりました。

初日の9月22日(木)夕方には、ワイズベッカーさんとアートディレクター・葛西薫さん
によるトークショーも開催。進行役をつとめたCLASKA Gallery & Shop "DO" ディレクター
大熊から見た感想はこちらの記事でご覧いただくとして、こちらの記事では客席側で
大興奮していたプレス速水の方から、トークショーとレセプションパーティーの模様を
ダイジェストでご報告させていただきたいと思います。




― ワイズベッカーさんがはじめて来日されたのは、1970年。
  その後のおふたりの出会いから、これまでのこと。

ワイズベッカーさん:

Pushpin の展覧会に友人として同行し10日間滞在したのですが、1970年当時の日本では
好奇の目で見られました。それから歳月が経って、世界はすごく変わりましたね。2000年に
(銀座 クリエイションギャラリーG8にて日本で初めての)個展をしたときには、日本から
強い刺激を受けました。

葛西さん:

わたしがワイズベッカーさんの作品に出会ったのは、その2000年の時が最初ですね。
DMを見たときからびっくりして、とにかく見に行きたい。それでようやく行けたときには作品が
予約済になってしまっていたのですが、特にトラックが良かった。「欲しい」というより、
「真似してやろうかな」とも(笑)。なぜ自分はこれをやらなかったんだろう、という、
遠い気持ちと近しい気持ちが同時にしました。

それからはじめて仕事でご一緒した「HAND TOOLS」(2003年)は、作品を整えるだけ
だったのですがその後、SUNTORY の新聞広告の絵をお願いしました。はじめは工場や建物、
あるいはウィスキーができるまでの工程を案内する図を提案していたのですが、最終的には
そうではなく商品の絵で「水と生きるSUNTORY」という環境広告になった(2004年)。
それがADC賞を受賞することになって。授賞式でゆっくり話せたんですよね。

ワイズベッカーさん:

葛西さんの感覚は自分と共通しています。葛西さんの作品、特に広告ではない
ドローイングの仕事を見たときには魅了されました。Line の強さに感銘を受けたんですね。
SUNTORY の広告の仕事の際は葛西さんが自分が描きたいもの・描けるものをよく理解して
くださっているので、与えられたテーマに対して100%自分を守りながら表現でき、とても
やりやすかったです。

― ワイズベッカーさんの作品と今回の展覧会「Line Work」について。

葛西さん:

みんな同じことを思うと思うのだけれど、ワイズベッカーさんの作品はユーモラスで、
手が届きそうな距離にある。間違いだらけなんですよ。パースが逆になっていたり。

たらいの絵は、この角度なら底が見える。それをわかっているはずなのに、
(描くのを)やめる。



ずるいですよね(笑)。思わせぶり、謎かけ、騙し絵、そういうことが大好きなので、
悔しくなってしまいます。

そして今回の展覧会の作品では、わたしたちのイメージの中のワイズベッカーが
新しいことに取り組んでいることが見てとれます。



黒いベタに白い線。これは黒い紙に白い線が引いてあるのではなく、黒く塗っているんです。
塗り潰している時間に彼が何を想っているのか、興味が湧きました。


そしてカメラの黒い塊。立体なのに平面のよう。相変わらず喜ばせてもらいましたね。



会場のしつらえがまた、作品に馴染み過ぎているくらい馴染んでますよね。


ワイズベッカーさん:

常にobjet には興味があるのですが、objet が持っている「魂」に惹かれて行っている
気がします。色味を増やすより、少しずつミニマルな表現になっていっていますね。
葛西さんが仰った、たらいの底は、非常に重要だと思う。それを描かないことで、
そこにある重要なものについて考えさせられるでしょう?しかしそうすると何も
描かなくなってきますがね(笑)。

デッサンが平面的であればあるほど、紙という平面に広がっていく気がします。
絵であるものの向こうに何があるのかを知りたい。

葛西さん:

自分が蚊になったとしたら、ワイズベッカーさんの絵は線で囲われていることによって
線なのか壁なのかわからなくて、ぶつかったり抜けれたりする。描いている途中で、
宇宙的に外へも内へも向かいながら、具象の向こうに触れる喜びを感じているところが
ワイズベッカーさんにも自分にもあるんでしょうね。気持ちのいい曲線を描けたら、空を
飛んでいるような気持ちになることがあります。今生きていることを感じる喜びが、「線」にある。

ワイズベッカーさん:

葛西さんのドローイングにはいつも驚かされますが、結果よりもプロセスが似ている
かも知れません。全く予期しない不思議なかたちやラインを描くのは、背景に想いを
寄せるためのきっかけに過ぎない。

葛西さん:

ブラシの毛が固まってるのはショック!=嬉しいです。神経質に捉えたり、マスとして
感じたり、自在感がたまらないですね。



それから字も好き!紙に対する絵の位置に対してどこに書くか。その字も、絵になる。



ワイズベッカーさん:

毎回、具象的なものにはタイトルを書くことが多いですね。下手でも、それが何か
書いておけばわかるので(笑)。そしてobjet とタイトルを描いてわかりやすいものは
その分、その「向こう」に想いが行くようになるんじゃないかと。

葛西さん:

5年前、虎屋のパリ店の25周年で、パリ店の建物の絵をワイズベッカーさんに
描いてもらい、記念のお菓子のパッケージを作りました。記念式典で再会して、
アトリエに長尾智子さんと一緒に遊びに行けたのですが、部屋が楽しくて!
ぜんぶ手づくりの家具。どれもワイズベッカー一色。夢の中かおもちゃの国のようで、
すごく楽しかったんです。そこで色んなものを見せてもらって。その後長尾さんが
「あさ・ひる・ばん・茶」で絵を描いてもらうことになりました。

仕事が人と仕事を呼んで、ただただ楽しくかたちになっていく。
言葉をすかさず交わせるわけではないけれど、会話そのものがワイズベッカーさんの
作品に通じている気がします。



 長尾智子さん著 「あさ・ひる・ばん・茶」(文化出版局)
 挿画をワイズベッカーさん、装丁を葛西さんが手掛けられました。

 ※2010年7月~8月にCLASKA Gallery & Shop "DO" 渋谷店で行った
 フィリップ・ワイズベッカーの「あさ・ひる・ばん・茶」挿画展についてはこちら


ワイズベッカーさん:

虎屋の話は、食いしん坊で甘いもの好きのわたしを上手くついてきたなと思いました(笑)。
建物を描いただけで自分は特に仕事をしていませんが、そこから色んな種類のデザインが
されて素晴らしいパッケージになった。100%信頼しているから絵を渡すだけ。完璧に
仕上がったものを受け取るだけでした。長尾さんの本も同様。自分が描いたものよりも、
よりよくなっているのは嬉しいですし、すごくいいコラボレーションだったと思います。
こんどは大好きな大福の絵を描きたい。


葛西さん:

言葉も国も違う、年齢も違う者どうしが、面白いですよね。鎌倉に観光に行った時には
大雨の中、蜘蛛の巣を発見したのでデジカメを持って向かっていったとか。昨日の台風の
ときは外に出られずホテルの部屋で奥さんとTVを観ていたら相撲に興奮されたとか(笑)。
今後、蜘蛛や相撲も絵にしてみて欲しいです。



まだまだ楽しいお話は尽きないのですが、そろそろお時間が来てしまいました。
ワイズベッカーさん、葛西さん、貴重なお話を本当にありがとうございました!

おふたりの、言葉ではないところで繋がっている素敵な信頼関係、そして
ワイズベッカーさん作品の見かたを通じて世界の見えかたの違いを垣間見せてくださった
数々のお話に、とてもはっとさせられました。




トークショー後の記念写真です。(後列向かって左手より時計回りに)
葛西さん、ワイズベッカーさんの奥さま、ワイズベッカーさん、
クリエイションギャラリーG8の小高さん、CLASKA Gallery & Shop "DO" 大熊、
ハモニカブックスの吉田さん、ワイズベッカーさんのエージェントをされている
Bureau Kida の貴田さん。



その後のレセプションパーティーではなんと、長尾智子さんと
岡尾美代子さんがサンドイッチをふるまってくださいました。





来場されていたジャスパー・モリソン氏と。

トークショーおよびレセプションパーティーにお越しくださった皆さま、
まことにありがとうございました!



本展覧会を記念してドーで制作したカタログもございますが、
何度となく足を運んで一点一点の原画の筆致を味わい、線の向こうにある
風景に想いを馳せ、この機会にぜひ作品を手にしていただきたい展覧会です。
皆さまのお越しをお待ちしております。

PHILIPPE WEISBECKER EXHIBITION
 フィリップ・ワイズベッカー展 「Line Work」

[会場]CLASKA Gallery & Shop "DO" 本店
[会期]開催中~10月23日(日)11:00~19:00
[協力]貴田奈津子(Bureau Kida)、長尾智子、クリエイションギャラリーG8


[関連記事]
フィリップ・ワイズベッカーの「あさ・ひる・ばん・茶」挿画展 2010年 CLASKA Gallery & Shop "DO" 渋谷店
「あさ・ひる・ばん・茶」ポストカードセット

フィリップ・ワイズベッカー展 「Line Work」 2011年8月29日
He has finally come to Gallery & Shop DO! 2011年9月24日

本展覧会のオリジナルカタログを、CLASKA ONLINE SHOP でもお求めいただけます。
> CLASKA ONLINE SHOP


Posted by press

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