BLOG BLOG CLASKAから送る日々のメッセージ

2009.10.14

半径1kmの世界


…ひとりで黙って動かずにいるのだ。そうすれば世界が
やってきて、君の前でヴェールを脱ぐだろう…


今度こそ一日家にいて部屋の片付けをしよう、あとは本でも読んでのんびり過ごそう。
休み前になるといつもそう決心する。それがいざ当日になると昼過ぎにはもうじっとして
いられない。そして外へと飛び出していく。たいして出かける理由もない。
家にいるのがどうしようもなくもったいない気がしてくるからだ。
経験できるはずの新しい世界を自分は見損なってしまう、そんなオブセッションが
私を襲う。私は根っからの貧乏性である。


先日テレビで昆虫画家として知られる熊田千佳慕さんの番組を観た。
1991年、熊田さんが81歳の時に放送された番組だった。
熊田さんは今年の夏お亡くなりになられたばかりだった。享年99歳。
戦前は図案家、今でいうグラフィックデザイナーとして活躍し、
戦後は絵本や挿絵を描く画家に転身。以来亡くなる直前まで現役で
昆虫や草花の息づかいが聞こえてくるようなリアルな細密画を
生涯書き続けた人である。


番組を観てとにかく驚いたのは熊田さんが45年もの間外泊をしたことがなく
電車に乗ることも年に数回、ほとんど自宅1km以内の範囲で過ごしているということ
だった。家のことはほとんど奥様がやり、熊田さんはといえば近所を散歩して昆虫や
植物を観察するか、それらの絵を自宅で描いているかのどちらかだという。
散歩の途中、熊田さんは地面に這いつくばるようにして虫たちの体や動作、行動を
仔細に観察する。巣穴を間違える慌てん坊のアリの姿に微笑み、老年のカマキリが
若いカマキリを襲い食べる姿に悲しみの目を隠さない。
そういった生活を毎日、何十年間と続けている熊田さんが見ている世界。
そこには小さいようで驚くほど豊潤な世界が詰まっている。

じっとしていないと見えない世界というものがある。
私はその日も思い知らされたのである。


ここからはPRです。
いよいよ18日の日曜日に堀井和子さんのフリーマーケット「HORIMA」が開催されます。
料理スタイリストとしてキャリアをスタートされた頃に集められた料理関係の書籍から
堀井さん自身が長年愛用されてきた様々な生活用品や雑貨までファンならずとも欲しい
ものがついに大放出!そして堀井さんの手書き文字をロゴにしたフリマ専用?トート、
HORIMAトートバッグもつくりました。堀井さん自身もとっても気に入ってくださって
います。そしてそして午後3時からは今回の展示会の作品や商品について堀井さん自身
に解説して頂くというガイドツアーも行います。ああなんと贅沢な一日。お楽しみに!

Posted by okuma