BLOG BLOG CLASKAから送る日々のメッセージ

2009.01.22

「ひっかかる」デザイン

ご存じの方も多いと思いますが、「ドー」のロゴデザインをしてくれたのは
GRAPHの北川一成さんです。クラスカのリニューアルに関わることになり、
新しいクラスカにふさわしいデザインってどういうものだろうと思ったとき
真っ先に頭に浮かんだのが北川さんでした。いや正確に言うとあるデザインが頭に浮かんで
そのデザインをした人が北川さんだったというわけです。


4,5年前になるでしょうか。
ミラノサローネのサテライト会場の一つであったテアトロアルマー二
(安藤忠雄設計)で日本のデザインを紹介する展示会が行われていました。
プロダクトからグラフィックまで幅広いジャンルのジャパンデザインを紹介する
という内容でしたが今となってはほとんど何が展示されていたか覚えていません。
ただ一つだけはっきり覚えているのが酒樽です。藁製の立派な樽に「ふ」という字
をモチーフにしたと思われる赤いロゴが大きく入っていました。
昔ながらの伝統的な意匠のようにも見えますがよく見ると不思議なバランスでもありました。
当時から北川一成という名前は知っていましたが、そのときはデザイナーの名前よりも
その酒樽の印象が強く、ヨーロッパ・アメリカ的なグラフィックに対抗できる日本グラフィックとは
こういうものなんじゃないかなと漠然と思ったのです。


北川デザインとは他の場所でも無意識に出会っていました。
もう10年位前に買った「memento mori」という本。
建築家堀部安嗣さんが設計した「伊豆高原の家」という小さな別荘を紹介した
薄い冊子のような本です。書店の建築書コーナーにはおよそなじまない詩集のような
装丁の本に思わず手が伸びました。この本がきっかけでに堀部さんという建築家を
知りることができたのは大きな発見でした。今でも最も好きな日本人建築家の一人です。
その本のデザインがまた北川さんだったのです。


北川さんの作品がどれも大好きだというわけでは決してないのですが、どうも彼のデザインに
私は「ひっかかる」のです。美しいデザインはたくさんある。美しい以外に何の取り柄もない
デザイン。そんなデザインも大好きですが、でも本来特にグラフィックデザインに求められて
いるのはコミュニケーション性。伝えるべきことが伝わらなければ意味がない。
そういう観点からすれば人の何かに「ひっかかる」デザインというのは理想的だとも思うのです。
それは必ずしもポジティブな評価だけじゃなくて、「なんだこのデザインは許せない」とか
「私は認めない」といった賛否両論、つまりいろんなコミュニケーションを生じさせるデザイン
がいいデザインなんじゃないか、そんな風に最近は思います。もちろん否定的な意見しかない
デザインというのは問題だと思いますが。


今ドーのギャラリースペースではその北川さんとカメラマンの新津保建秀さんによる
アートユニット「ヒント日」による現代アートの展示会を行っています(2月7日まで)。
展示会の開催を記念してゲストを招いての二人のトークショーをギャラリー内で行います。
日本酒やビールを飲みながらのくつろいだ雰囲気の中で北川さんならではユニークなトークが
炸裂します。お時間のある方はぜひご参加ください。


日時 1月31日(土)15:00から16:30
場所 クラスカ3階ギャラリー&ショップ ドー
ゲスト 青山真優(角川書店「GOTH」モリノヨル編集担当)
問い合わせお申込み 03-3719-8124(ドー)もしくはdo@claska.com




これがその酒樽。期間中ドーにも展示しています。


Posted by okuma