2008.11.27
今年の二大音楽的事件
そういえば紅白の出場者が発表になりました。
今年も残りわずかですね。というわけで突然ですが私の2008年度の音楽シーンを
振り返ってみることにしました。
私にとっての本年度二大音楽的事件といえば何と言っても
「パヒュームのポリリズム」と「カラヤンのロンドンラストライブ」です。
まずパヒューム(祝紅白初出場!)の「ポリリズム」(ちなみに「ポリリズム」は
正確には2007年夏の楽曲ですが、私は半年以上遅れた今年になって認識したので
本年度の事件とさせていただきました)。何となく曲調が気になっていたので
思わずユーチューブで検索してしまったのですが、そこで初めてパヒュームの
「ポリリズム」の真髄を目の当たりにしました。軽やかで心地いいテクノサウンド、
メンバー3人の天真爛漫なキャラクター、そして天才的とも言える振り付けによるダンス
の見事なまでの三位一体感。気がつくと何度もリプレイボタンをクリックしていました。
これはテクノポップ界黎明期の金字塔!?的名曲、近田春夫先生作曲による
ジューシーフルーツ「ジェニーはご機嫌ななめ」以来の傑作だと断言したいです。
ただ残念なのはあまりにも名曲であるがゆえに売上げやチャートは別にして
パヒューム自身が真の意味で「ポリリズム」を越えることがおそらくできないだろう
ということです。ジューシーフルーツがそうであり、また小西康陽が自身の名作
「ツイギーツイギー」を決して越えられなかったように…(全くの独断的意見ですが…)。
そしてもうひとつは先日の帝王話にも登場した巨匠カラヤンです。
つい先日発売になった1988年にロンドンシンフォニーホールで開催された
カラヤン指揮によるベルリンフィルのロンドンラストコンサートの衝撃たるや。
普段私はもっぱらクラシックを愛聴しているわけですが、そのほとんどがピアノや
室内楽が主であまりシンフォニー(いわゆる交響曲)を聴くことはありません。
それが先日渋谷のHMVにCDを物色しに行ったとき、館内で流れていたブラームスの
交響曲第一番がどうにもこうにも迫ってくるのです。それはロンドンで行なわれた
カラヤン最晩年のコンサートの演奏でした。ライナーノーツによると、カラヤンと
ベルリンフィルはウィーン、パリ、ロンドンを巡る演奏旅行の最後だったそうですが
このときパリで起きていたストライキのため、輸送中の楽器の到着が遅れ、コンサート
開始時刻になってやっと到着。その後リハーサル無しで一時間後に開演したという
曰く付きのライブだったということです。
コンサートは聴衆の疲労と苛立ちがピークに達した状態で開始されました。
ところがカラヤンとベルリンフィルはその逆境をバネになのか、その後
最大級の賛辞にふさわしい演奏をやってのけたというのですから恐れ入ります。
確かに何かに取り憑かれたような圧倒的な演奏は、もうテクニックなどというレベル
ではない、まさに魂が吹き込まれた音楽が生き物のように踊り狂ってような印象を
受けます。ブラームスの前に演奏されたシェーンベルクの「浄夜」がまた凄い。
「浄夜」といえばカラヤンには1974年に録音された同じベルリンフィルによるCDが
ドイツグラモフォンの名盤として残っているのですが、私にはその演奏をはるかに
凌駕するエモーショナルで切迫した「淨夜」がこのロンドンライブにはあるような
気がしました。きっとシェーンベルク自身が求めていたのもこのような演奏では
なかったのではないでしょうか。聴衆も含め、このライブに参加した人が経験した
のは時間を越えたものだったと思います。ああ羨ましい。
音楽に限らず優れた芸術的経験はいつだって技術や計算=人知を越えた何かによって
突き動かされ、偶発的に産み落とされるものだという気がしてなりません。それを
神とか魂とか呼ぶのかもしれませんね。むろん「ポリリズム」もそうして産み落とされた
に違いないのです。アーメン。
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これがカラヤンの問題作!ロンドンラストコンサート。
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「ジェニーはご機嫌ななめ」は80年の作品。28年前とは…。
Posted by okuma
