BLOG BLOG CLASKAから送る日々のメッセージ

2008.10.08

わけより団子

「わけあって、安い」といえば無印良品の有名なコピー。
「わけあり」という言葉はだいたいネガティブな事情がある場合に使われるのが
一般的ですが、無印はそれを反転させたわけですね。
シンプルなコピーはいつもながらおじょーずです。


つい先日のこと。私はあるアンティークショップで気になる人形を見つけました。
聞けば李朝時代の朝鮮の木彫だそうでひじょーに貴重なものとのこと。
もちろん買える値段ではなく、その日は見るだけ見て店を後にしました。
それからしばらくして、何の気なしにいつものようにネットオークションを見ていると、
例の人形らしき木彫が出品されているではありませんか!
かなり低価格のスタートだったのでこれはもしやと思い、入札してみることにしました。
数日様子を伺っていたのですが、さしたるライバルも現れることなくあっけなく落札する
ことができました。店で聞いた値段とひとケタ違う驚きのプライスだったのです。


私は久々の「掘り出し物」に驚喜し、贔屓にしている古道具屋に鑑定と自慢を兼ねて
持っていくことにしました。経緯を話しはじめるやいなや、店のご主人
「それは間違いなくニセモノです」ときっぱりおっしゃるではありませんか。
「や、やっぱりそうですよね、ははは…」と内心の落胆を必至に隠しながら愛想笑い
をするのが精一杯な私。やっぱり安いのにはちゃんとわけがありました…。


話はさらに続きます(長くてすみません)。昨今巷を騒がせている話題と言えば
サブプライムローン問題から派生した「金融不安」と「事故米」問題(唐突ですが
もう少し我慢して読んでくださいませ)。
新聞もろくに読まず、金融事情に疎い私が言うのもなんですが、この二大事件は
つまるところ同じ理由に端を発しているのではないかとふと思ったのです。


サブプライムローンは信用度の低い人向けの住宅ローンということでした。
当たり前ですが信用度の低い人はお金を借りるのは難しい。そういう人でも
ローンが組めるというわけですから当然この商品(ローン)に人は殺到したでしょう。
一方、お金を貸す方としては、貸す相手が信用度の低い人であるわけですから回収に
はリスクが伴います。なので利率は通常のローンよりも高く設定されているはずです。
で、とりあえずローンの契約を結びお客さんにお金を貸す。貸したら今度は回収です。
ただここでややこしいのは、その回収する権利が証券化され、また別な商品として
市場に流通することです。この証券化の作業が何度となく繰り返される。
すると最後の方は、もうこの証券を担保しているものがなんだったのかわからなくなる。
リスクの高い住宅ローンであったという事実が消されてしまうのです。


一方「事故米」の問題はどうだったでしょうか。農水省が「非食用」の輸入米を一部の
許可された業者に低価格で売却する。それを買った業者は「お得な輸入米」として
中間業者に転売。さらにその中間業者がまた別の中間業者へ転売…という具合に転売が
繰り返される。私は問題の米が事件の発端となった業者から消費者の口に届くまでの
ルートを示すテロップをワイドショーで見て愕然としました。夥しい数の中間業者が
介在しているのです。そんなにたくさんの中間業者が間に入っているのになおそれぞれの
業者に利益が出るとするなら、一体元値はいくらだったのか。
「わけありの米」だったという事実が跡かたもなく消え失せてしまうのも
これでは無理はありません。


何が言いたいのかもうおわかりだと思いますが、つまるところ起源は「わけあって、
安い」、「わけあって、お得」ということなのです。「うまい話にはわけがある」
という教えはおそらくいにしえの時代からあったでしょう。
ただし欲望はいつだってせっかちです。「わけより団子」です。そうして欲望に
導かれるまま人類は同じ過ちを繰り返す。
「歴史とは過ちの繰り返しである」と言ったのはヘーゲル、ではなく私が今思いついた
だけですが、そんな私も含めた人類という存在に果たして未来はあるのでしょうか。
いや、ないでしょうね。



わけあって安かった李朝男神木彫像
左は秘蔵のかばのぬいぐるみ


お知らせ
6月に好評のうちに終了した期間限定カフェ「プティ・キュ」@CLASKA
ですが、現在本拠地である早稲田の地で再度期間限定オープンしています。
前回逃してしまった方、あるいはまたあのチーズケーキを食べたい方、ぜひ
この機会をお見逃し(食べ逃し)なく。今月26日まで要予約だそうです。
詳しくは(あまり詳しくはないけど)こちらのホームページをチェックして
みてください。http://mypage.odn.ne.jp/home/petit_cul

Posted by okuma