BLOG BLOG CLASKAから送る日々のメッセージ

2008.06.26

したたかなのはファッションか、それともアートか。

シャネルのモバイルアート展に行きました。
ザハ・ハディト設計のパビリオンが何かと話題になっていますね。
ハディトと言えばかつてはアンビルドの女帝として実現不可能な建築を設計することで
知られていましたが、近年のコンピューター、建築技術の大幅な進歩と、ハディトの
アーティスティックな作品に対する評価(最近のアートバブル的状況が後押ししている
という背景も多少はあるでしょう)のいっそうの高まりとともに、90年代に入ってから
少しずつ彼女の建築は実現するようになってきました。
ヴィトラ社の消防署は彼女の出世作でもあり私も好きな作品のひとつです。


前置きが長くなりましたが、それで展示会自体はどうだったかというと、確かに完全定員制で
MP3プレーヤーでガイダンスナレーションを聴きながら鑑賞するという体験は斬新かつ新鮮
ではありましたが、最近歳のせいかすっかり現代美術に対しての不感症が進行しつつ
ある私にとって、特別な感動や刺激はなかったというのが正直なところです。
それ以上に気になったのは、下世話かもしれませんがこのイベントを実現させるのに一体
どれほどのお金が必要だったのだろうかということ、またそれを実現させてしまうファッション
の世界のダイナミズムです。
全ての作品を新たに発注し、それらを見せるための美術館を一からつくり、その建築ごと世界を
旅してしまうという壮大な計画は、当然それにともなった壮大なエネルギーと費用がかかります。
香港からスタートして最後のパリまで6都市を回る中に東京が含まれている。
むろん東京/日本がシャネルにとって重要なマーケットであるからに他なりません。


ココ・シャネル以降、豪奢な貴族たちに代わりアーティストを支え、また利用もしてきたのは
他ならぬうファッション界の人々です。もちろんファッション界はあしながおじさんではありません。
支援には当然理由があります。またアートも切実にその支援を求めている。
改めてその事実を目の当たりにした気がしました。
ファッションとアートの蜜月はまだまだ続くのでしょうか。
いつかファッションの世界が斜陽を迎えるとき、アートは共にその存在感を失っていくのでしょうか、
それともアートはやっぱり新しいパートナーを見つけるのでしょうか。
きっと後者でしょう。アートは見かけによらずしたたかですから。



Posted by okuma